2006年07月05日

現代美術家・束芋のひらめき

新聞小説はほとんど読んでいないのだが、数日まえにふと眼に入ったのが朝日新聞・夕刊に連載されている小説「悪人」。作・吉田修一。画・束芋。
数年まえから束芋に注目していたのに、どうしていままで気づかなかったのだろう。
吉田修一については、名前だけは知っていたが、作品を読むのははじめて。「悪人」は、味わいのある文章だし、興味深い内容だ。
ちなみに朝刊には桐野夏生の「メタボラ」が連載されている。初回から読み通すことのできない文章なので、まったく読んでいない。

束芋の画は、小説世界を錬りあげた、挿画を超えた独立した作品である。
文章からイメージされる小説世界を、さらに束芋の画に刺激されることで、別世界にひきずりこまれる。
ここまで存在感のある挿画を、わたしは知らない。


【束芋(たばいも)のプロフィール】

1975年、兵庫県生まれ。本名・田端綾子。
3人姉妹の次女で、予備校生時代に姉と同じクラスになり、ある友人が"田端の妹"という意味の「タバイモ」と呼びはじめた。これに漢字の「束芋」を当てた。
ちなみに姉は「タバアネ」、妹は「イモイモ」。

1999年、京都造形芸術大学芸術学部情報デザインコース卒業。
芸大には、一浪して追加合格で入学し、卒業時は、就職志望の会社にすべて断られた。
卒業制作「にっぽんの台所」が、キリンコンテンポラリーアワード1999」(現キリンアートアワード)にて最優秀作品賞を受賞したのを契機に、世界的にアーティストとして活躍。
束芋の作品は、インスタレーションというジャンルに入る。

ベルギーの美術関係者は、束芋の作品を「俳句のよう」だと評したという。
2002年10月、弱冠26歳で母校・京都造形芸術大学の教授に就任したときは、大きなニュースになった。

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束芋は、京都芸大の学生には、「○○恐怖症」というふうに、それぞれの恐怖症を課題に制作させたらしい。
そんな束芋は、小学生相手だったら、どのような課題を与えるのだろう。
子どもたちが、束芋の卒業制作「にっぽんの台所」(1999年)で描かれた、まな板の上でサラリーマンが首を切られるアニメをみて、どのような感想をもつのか、興味がある。
われわれは「リストラ」という言葉には不感症になっている。が、まな板のうえで女性(いかにも主婦デス、という太った中年女性)が、中年男性の首を気軽に、かつ容赦なく切ろうとしている図には、独特の不気味さが漂う。
滑稽なアニメに、自分の首が切られようとしているような臨場感がある。

なお束芋自身は、「自分を理解し、素直に表現しているだけで、社会批評をしているつもりはない」とのこと。


〔追記 2006/07/14〕

「ヨロヨロン 束芋」展
 東京・品川の原美術館
 8月27日まで(7月17日を除く月曜と7月18日休み)

「ヨロヨロン」 束芋 (Fuji-tv ART NET)


〔追記 2006/07/19〕

7月23日(日)、束芋が「トップランナー」(NHK教育・19:00 〜 19:44)に出演します。


〔参照〕

第12回日本現代藝術奨励賞

束芋展:おどろおどろ

現代美術家 束 芋さん(asahi.com マイタウン京都/2005年10月31日)

美術家 束 芋 「にっぽん」という国の色(神戸新聞・2003/01/04)

ArtYuran「Vol.24 束芋(Tabaimo) 」2000/09/22










miko3355 at 16:57│TrackBack(0)美術 

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