2005年09月20日

狂言回しとして存在意義のある小泉首相

謙遜ではなく、文字どおり政治に疎いわたしだが、以前から、TVに登場する政治評論家のなかで唯一風格を感じていたのが、森田実氏だった。何者なのだろうと思っていたのだが、最近、森田氏のサイトがあるのを知った。
小泉首相のメディア戦略について、メディアや幾つものblogが分析しているのをみききし、わたしは釈然としない気分になった。ところが下記を読み、溜飲がさがったのである。

2005.9.17(その1)
2005年森田実政治日誌[345]
早くも始まった“小泉個人崇拝”の大宣伝――小泉首相を神格化する愚劣な行為はやめなさい

(註・左側の「森田実の時代を斬る」というコンテンツから入ってください)
というのを読んでいたら、つぎのような記述があった。

「小泉人気さえ高めれば、小泉内閣が日本人にとってどんなひどい政治を行っても日本人は受け入れる」という考え方がブッシュ政権の対日戦略担当者にはある――という話を、日米関係にタッチしている知人から聞いたことがある。
「小泉人気を煽るために、ウォール街を通じて、多額の広告費を日本の広告独占企業に供給し、日本のマスコミを支配した」という話も聞いた。
 何人かの日米関係者に聞いてみると、誰もあからさまには口にしないが、上記のことは「日米関係者の間では常識になっている」ようだった。そのうちの一人はさらにこう付け加えた。
「ブッシュ政権の日本担当者は、日本人はバカだと考えている。マスコミ(とくにテレビ)を煽て上げ、広告費を出せば、なんでもする。日本のテレビは放送法に違反する行為を平然と行う。小泉政権の支持さえあればどんなことでもできると考えている。マスコミが小泉人気を高め、小泉を偉大な政治的大天才と思い込ませれば、小泉がどんなにひどい政治を行っても日本人は小泉についていく。日本人をアメリカのために働かせるためには、マスコミを使って小泉人気を高めればよいと、アメリカ側は考えている。日本のマスコミは日本国民の利益など考えていない。危険ですね。ほかにもあります。アメリカ側の日本における宣伝誌の一つが『ニューズウィーク日本版』。これは注意してみておいたほうがいいですよ」


そうすると、小泉は″狂言回し″ということになる。
「脱欧入亜」の時代にアメリカ追随というのは、時代に逆行しているし、「日本人をアメリカのために働かせるためには、マスコミを使って小泉人気を高めればよいと、アメリカ側は考えている」のだとしたら、単純に考えて、国益とは真逆な小泉政権を国民は支持したということになる。

また上記サイトで、森田氏は、朝日新聞および朝日新聞発行の雑誌の内容のひどさに憤り、《朝日新聞の記者や編集者を「知識人」と見るのはやめたほうがいいと思う》と述べている。そしてこう訴える。

報道関係の諸君。「ジャーナリストにとって、政治権力の手先になるほど恥ずべき堕落はない」――これが、戦後日本のジャーナリストの誓いだったことを思い起こしてほしい

2005.9.17(その2)
2005年森田実政治日誌[346]
「憂国の声」特集(40)

(註・左側の「森田実の時代を斬る」というコンテンツから入ってください)

上記には9/16に寄せられた意見が紹介されている。いずれもすぐれた内容である。
とりわけ強く共感できたのは、つぎの3点。
(森田氏のサイトの読者にはブロガーが多いらしい。紹介してほしいものだ)

【3】MYさんの意見「風が吹かなかった新潟より」
【6】MMさんの意見「50年来の朝日購読をやめました」
【12】Kさんからのメール「することがなくなったの歌をつくりました」


さて、「国立大学独立行政法人化の諸問題」というサイトがある。
自衛隊のイラク派兵についてセンスのよいアプローチをしていたので、そのころから注目していた。そこに、 黒田清「批判ができない新聞」が紹介されている。

黒田清(1931〜2000)についてはこちら

上記によると、黒田氏は亡くなる数日前に、うわごとで「福倖酒(ふっこうしゅ)が飲みたい」といい、霊前に供えられたという。
福倖酒とは、阪神大震災で多大な被害を受けた神戸・長田が震災からの復興を願い、製造した地酒。

わたしは、(嫌味のない)みるからにシャープなひとも好きだが、黒田清のようなひとにも魅了されるので、すい臓がんのために69歳で逝ったと知ったときはショックだった。手術後にみせた姿を含め、どこか不死身のような風貌だった。
そのひとの死が、なにかの終焉を告げるケースがある。黒田清もそのような存在だったと思える。





miko3355 at 15:00│TrackBack(0)社会全般 

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この記事へのコメント

1. Posted by 名鹿   2005年09月21日 01:04
5 今回も考え深い内容ですね。
朝日新聞に関しての見解をもっと深く聞いてみたいです。
うちは京都に住んでいたころ、父が赤旗をとるなど、共産びいきの家庭環境がありました。
朝日もずっと購読していました。
対象的に祖父の家は父方、母方ともに天皇家のファンで、まったく政治的な考えが違っていました。新聞も朝日は敬遠しているようなところがありました。
祖父と父はゆえに政治の話をほとんどしませんでした。
僕も政治の話は嫌いでした。
子どものころからかたよった政治思想をもった家族の一員であることをまわりの友達に対し、コンプレックスに思っていたのです。
ゆえに今でも極端な政治的考えを避けているところがあります。
政治的なことを真剣に考えるようになったのは最近です。
今回の記事はゆえに興味深く拝見しました。
難しい問題です。
2. Posted by miko   2005年09月21日 07:01
名鹿さま

わたしはず〜っと朝日新聞を購読しています。たしかに紙面がレベルダウンしていると感じています。他紙と比較していませんので正確ではないですが、朝日新聞の署名記事のなかに、惚れ惚れするような文章を書く稀有なひとがいます。おそらく文学を含め、深い教養に裏打ちされているのだと想像します。

わたしは20歳のとき、宮本百合子を尊敬していましたので、20代は共産党を支持していました。いずれにしても若いときから現在に至るまで、知己に自民党支持者がいないという環境にあります。

じつは富永太郎と同時代の難波大助(虎の門事件)について書くつもりでいるのですが、もうすこしお待ちください。幾つか書きたいテーマがあり、いずれも文学とは無関係にみえますが、ほんとうは大切なことだと思っています。

自分の勉強不足を痛感する日々です。
3. Posted by 小向   2005年09月22日 16:32
意外と政治の話題が続きますね。と言いつつ僕も政治的発言です。
後藤田正晴が亡くなりました。自分が死ぬまで憲法を変えてほしくないと言っていたそうです。一貫して護憲の人でした。小泉のイラク自衛隊派遣に反対、靖国参拝も批判。
後藤田氏は戦争を肌身で知っていた人で、戦争が国民をどれほど苦しめるものかをわかっていたのですね。小泉君は戦争を知らないと断じていたそうです。自民党の中に今こそこういう政治家がいてほしいものだと思います。
4. Posted by miko   2005年09月23日 10:44
小向さま

政治に疎いわたしが書かずにいられないほどひどい状況ですから。
後藤田氏の発言には、以前からわたしも注目していました。
死の直前まで、小泉首相に苦言を呈していたそうですね。
小泉君は、たとえ後藤田氏のようなひとがいても、聴く耳をもたないと思いますけれど。

司馬遼太郎も死の直前まで、この国の行方を憂えていましたね。
しかし、ここまで急速にひどくなるとは予想していなかったのではないでしょうか。

小泉首相の頬のこけかたをみていると、疾患をかかえていると思うのですが……?
1年もつのがやっとではないでしょうか。TVでは威勢のいい姿しか映しませんが、相当くたびれているはず。
自民党といっても、公明党の存在が巨大ですから、小泉が去ったあと、どうなるのか? 

良質な人間がどんどん鬼籍に入ってゆきます。